バイオの基礎シリーズ2 〜いきもののかたち〜

シリーズ1からずいぶんと間が空いてしまいました。
基礎シリーズ、ということで本当に基礎の部分を順にやっていこうかと思ってましたが、変更。ブログなのでやはり思いついた順・書きたい順でいきます。


テーマは生き物のかたちについて。


前回はセントラルドグマという概念を紹介しました。
生物の体はタンパク質という部品をうまく使ってつくられているけど、そのタンパク質は
DNA > RNA > タンパク質
という流れで、DNAの情報を元にしてつくられる。

で、我々の細胞ひとつひとつがもつ核の中に入ってるDNAは基本的に全く同じ。
よく考えると、受精卵という一つの細胞がたくさん分かれてできたのが今の体なので、当然ですね。*1


さて、このように考えると、全く同じDNAをもつ細胞が組み合わさってできている我々の体が、多様な「かたち」を持つのってなんだか不思議です。
みんな同じものをもってるのに、「役割分担」して大きな一つのまとまりとして「個体」ができている。
君たちは心臓、君たちは筋肉って感じで。

「どうやって」役割分担してるんだろう、ってのは非常におもしろいテーマですが、難しすぎて僕には手に余る部分があります。

そこでひとまず、実際の生物を例にして考えてみましょう。
わかりやすく、「動物vs植物」という対比で。

まず、動物について見てみると、形はしっかりしていて、植物のように曲がったり伸びたり分岐したりってのが少ない。つまり、役割分担がしっかりしてるわけです。

一方植物は、動かないぶん形をどんどん変える。サツマイモなんて葉っぱを土に挿しとくだけで根と茎を新たに伸ばしたりと、あんまり役割分担はしっかりしてない。*2



まあどっちが優れているか、ではなく戦略の違い。


動物は、役割分担にコストを割いたおかげで統率のとれた一つの形を構成し、「動ける」っていうメリットを手に入れた。環境の悪い場所からは逃げられる。暑いと思ったらクーラーの効いた喫茶店に逃げ込むこともできる。


植物は、役割分担がしっかりしてないおかげで柔軟に変化できる能力を獲得し、様々な環境に対応できる。


逆に動物は「統率がとれてしまった」ぶん「中枢」ができてしまったわけで、その部分が壊れると死んじゃうという脆さがある。


中枢をどんどん複雑にして、その機能をより強固にした結果できたのが脳だと考えると、「考える」って行為はなかなかに重みのある行為だと感じます。

我々は植物と違ってどんどん枝分かれしたり、花を咲かせたりできない分、内面を変化させることができるようになったのかもしれない。そう考えると、マインドマップがツリー状に描かれるのなんて、なんとなく面白いですよね。

生物学の中でも特に気になるテーマなので、書籍とからめて書いたりしたいですが、ひとまず僕の思考の端書きまでに。。

*1:※ちなみに、一人の持つDNAは全部の細胞で一緒、という前提があるからこそDNA鑑定なんてものもできるわけです。血液中のDNAと髪の毛の付け根のDNAが違ったら話にならない。

*2:実験的には、植物の葉っぱの切れ端から完全な個体を育てて花を付けさせたりできます。何でもありですね・・。