コモンズ・ライセンス
最近、知財関連の勉強から知ったこと、感じたことを少し書いてみます。
テーマはコモンズ・ライセンス。
新しいライセンスの形ですが、なにがすごいのかという結論から書くと
「作品を勝手に使ってしまう”フリーライダー”の存在が自分の利益になる」
というパラダイムシフトを可能にしたところです。
一般的な感覚だと、「ライセンス」というと特許ライセンスのことで、
- 発明したものに特許がつく
- 他の人がそれを使うことはできない
- 使用を許可するにしてもライセンス料を徴収
というイメージだと思います。
このシステムだと、良い発明をした人はお金がもらるので、発明をするモチベーションも高まるというメリットがあります。
しかし、一度権利化された技術は使用が制限されるので、使いにくい。
また、申請に時間がかかるため、Webビジネスモデルやソフトウェアなどスピーディに変化するものには対応しづらい。だから実質は無法状態になったりする。
ということで、
- 権利化することが開発スピードを下げてしまう
- 進化スピードの速い分野に相性が悪い
という問題があります。
それに対し、コモンズ・ライセンスは基本的に
「この人の制作物ですよ」という表示を出せば転用・改変OK
というゆるさがポイント(厳密にはもっと細かい区分があるし、制限される場合もありますが)。
それで何が起きるか、というと、コモンズ・ライセンスで公開したものは、どんどん転用されたり改変されるうちに、進化してゆきます。
アイディアの良い短編小説を公開したら、超大作に変化するかもしれない。そして、制作者の名前は表示義務があるので、多くの人が使うような良いアイディアを出した人はいわば「名が売れる」。
自分のアイディアをフリーライドする(悪く言えばパクる)人が、自分の宣伝者になるということで、ビジネスモデルなんかもフリーライドされるほどにその会社の知名度が高まるという正の循環が期待できます。
サービス業なんかでは利益に直結しますね。
実際にコモンズ・ライセンスを提供しているクリエイティブ・コモンズという団体があり、そのHPに出てるビデオが非常に分かりやすいです。上に書いたような話を3分でさっくりまとめてくれてるので、お時間のある方は是非。英語キレイです。
日本語字幕付で見る場合はCreative Commons Japanのサイトをどうぞ。
http://creativecommons.jp/
最後に、もうひとつ別のサービスの紹介をしつつ、簡単な提案を。
Innocentiveというコミュニティをご存じでしょうか。
http://www.innocentive.com/
様々な分野の「課題」をWeb上で公開して、その課題を解決したチームに賞金を与えるというもの。
課題は、環境など公共に役立つものから、単一の企業が抱える課題まで幅広い。
Nature とも組んで、科学関連の課題も幅広く扱っています。
提案したいのは、Innocentiveなどで提示されてる課題に対し、コモンズライセンスで自分の考えを述べてゆくのはどうか?ということです。専門家として解決の全体に関われなくとも、思いついたアイディアを公開するくらいはできそうです。
自分の考えが重要な課題の解決につながって、名前が残ったら嬉しいですよね。名前も残らなくていいってのもあるけど、やっぱりちょっと誉めてほしいのが人情かなあと悟れない僕は思うし、それで意欲が高まるならよいのでは。
以上、ざっくりと提案でした。
環境分野では、日本IBMが主催でエコ・パテント・コモンズという団体も動いてたり、生物資源の保護と活用に関する議論が起きてたりと興味深いテーマなので、徐々に発展した内容を書きたいと思ってます。
(バイオシリーズ2も早く書かねば..)
冗長になりましたが、こんなところで。