バイオの基礎シリーズ1 〜セントラルドグマ〜

近年新しく登場した技術としてバイオテクノロジー(以下バイオ)という言葉を耳にすることは多くありますが、具体的にどのような技術か、ということを一般の人が理解するのはなかなか難しいと思います。
そこで、バイオの基本に関してざっくりと書いてみようかと思います。
シリーズ化できるかわからんですが、自分へのプレッシャーをかけるためにもシリーズ1としました。

ざっくりなので、例外があったり多少不正確な部分は多々あると思いますが、ご了承下さい。




巷でバイオと呼ばれる技術を理解する上で、基本として最も重要な概念の一つがセントラルドグマではないかと考えています。
(私もバイオを勉強・実践してから2年程度の新参者なので、あまり大それたことは言えませんが・・・)


セントラルドグマの概念は


DNA→RNA→Protein(タンパク質)
という1行で表せます。


まず、細胞の核の中に入っているDNAの配列を元にしてRNAがつくられます。
DNAはすごく長くて、あらゆる情報が詰まっているので、RNAをつくる時はDNAの一部を元にしてつくられます。

だから、核の中に入っている長〜いDNAの一部に対応したRNAが細胞の中にたくさん漂った状態になります。

で、そのRNAの配列に対応したタンパク質がつくられます。

この、タンパク質ができるまでの方向が一定であるという法則がセントラルドグマの概要です。*1

あるタンパク質には対応したRNAがあり、そのRNAにも対応したDNAがある、ということで、
3者がそれぞれ1対1に近い関係にあるってことです。

んで、バイオ技術では、だいたい

1. DNAの配列を解読する
2. DNAの配列をいじって、目的に合ったタンパク質をつくる

という作業がメインになります。

1は例えばヒトゲノムの解読とか。
2は大腸菌にインシュリンとかをつくらせて薬として利用するような分野に応用されてます。

なんで扱う対象がDNAか、というと、物質として他の2つより安定してるから扱いやすいんです。
二重らせん構造っていう非常に安定した構造を取っていることが理由です。

あと、DNAを構成している要素は
A,T,C,G
という4種類しかないので、
そいつらの組み合わせを変えてやればあらゆるDNAがつくれます。
4進法みたいな感じですね。コンピューターにも似た部分があるのかと思います。

タンパク質もDNAに対応したものが出来るのですが、構成要素のアミノ酸は20種類もあるので、3アミノ酸でも8000通りも存在することになります。

だからタンパク質の種類はものすごく多く、その構造や、細胞の中でどのように働くか、といった点はわからないことだらけです。


ヒトゲノムが解読されたと言っても、それはDNAの配列が分かっただけの話で、タンパク質まで含めた全体のメカニズムはわかってない部分が多いのが現状だと思います。

だから面白くもあり、産業として安定したシステムに結びつけるのは難しい。
今はそういった状況かな、と思います。*2


適当にざーっと書きましたが、誤解を招くような箇所もあるかもしれないので、何かご指摘・反論等があれば是非お願いします。

*1:方向が一定でない例外も存在します。例えば、レトロウイルスと呼ばれる種類のウイルスが細胞の中で増える際には、ウイルスのRNAを元にDNAが合成される逆方向の反応が起こります。

*2:もちろん色んな面白い技術が登場していて、わかっていることはどんどん増えています。