クリーンテック業界の動向

先日、JETRO主催のセミナーに行ってきました。

Facebook上で紹介したところid:takuya-itohさんがご一緒してくださり、ブログでも以下のように紹介していただきました。

畑田さんに教えてもらったJETRO主催による「クリーンテック・ベンチャーとシリコンバレー事情 〜日米 環境・エネルギー分野の新しい動きを探る」というセミナーに行ってきました。「環境」系のセミナーに足を運んだのは本当に久しぶりで、このブログの「環境」タグも一年ぐらい使っていませんでしたが、3月のシリコンバレーカンファレンスを通じて、今一度、「環境」について自分なりに調査して、何らかのインスピレーションを得たいと思っています。
シリコンバレーカンファレンスに向けて・その2 - TAKUYA’s FLIGHT RECORDER

自分自身、環境にも新技術にも関心があったので、非常に面白かったです。
かなり広範囲に渡る内容だったので、特に自分の気を引いた話だけ抜粋してみます。

1. クリーンテックに対するアメリカ人の意識

オバマ政権では環境政策、Green化の後押しを強化するようで、今後成長する分野としての期待は高いようです。ただ、どこまで躍進できるかは楽観派・懐疑派が混在しているらしく、急成長するかは明確でないようです。
また、日本人に比べると「もったいない・節約しよう」という意識は低く、「生活レベルは落とさず別のエネルギーで補完したい」という意識が強いようです。



(プチ考察)
日本人の方が環境意識が高いのであれば、日本企業がアメリカに進出し、共に働くことで教化につながるかもしれない。また、使用エネルギー自体を減らすという意識が低いのなら、省エネ家電などは日本より理解されにくいのかもしれない。

2. 日本の環境技術について

蓄電池や太陽電池などの分野は実際に強いようで、太陽電池の世界シェアを見ると日本の大企業の名前が上位に入っています。しかし、各国の企業が次々に参入しているようで、シェアの分布などは今後激しく変動する可能性があります。また、日本国内のマーケットはある程度飽和しており、土地も無いことから、積極的にアメリカなどに進出して現地の電力供給を担うことが成長のカギになりそうです。ある意味、今がチャンスの時期という状態のようです。



(プチ考察)
保有する技術を生かすためには、積極的な海外進出が必要。
動きの早い企業だけが残る結果になるかもしれないが、技術者は不足しているとのことなので乗り遅れた企業からも技術者の移動が起きそう。変化に対応できる人は有利なのかな。

3. バイオ燃料について

ここは個人的な興味が特に強い分野なので単独で取り上げます。風力、クリーン自動車などは今回は省略。

バイオ燃料に関しては、食料品との競合などの問題も指摘されていますが、最近は廃棄物の利用、藻の利用などにシフトしているようです。
まあ、普通に考えると耕地となる土地の面積はかなり限られているわけで、農作物をエネルギーに利用しても充分な供給が出来る見込みは低いことがわかります。で、広い面積の確保が比較的容易な海を使おう、という考えで藻を使った燃料生産技術も開発が進められているようです。


では、いくつか高い成果を上げている企業を紹介します。


<Amyris Biotechnologies>
所在地はカリフォルニア州。UCバークレー校ローレンス国立研究所から独立。高マラリア薬開発技術から発展したらしい(発酵技術を利用してつくる薬だった??)
劣化しやすい・燃焼効率が悪いなどバイオ燃料が抱える品質の問題をかなり高い精度で解決しているらしく、サトウキビから一般ディーゼル燃料にきわめて近いバイオ燃料を作っているらしく、ディーゼルに50%まで混合可能とのこと。


<GreenFuel Technologies>
所在地はマサチューセッツ州。
工場の燃焼排ガスCO2で藻を増やし、バイオ燃料や飼料を作る技術をもつらしい。
本来無駄になる排出ガスを逆に利用して燃料に変えてしまった点で、非常にすばらしく、個人的にはかなり感動した。
大規模展開が課題とのこと。


<Macoma Corporation>
所在地はマサチューセッツ州。
自社開発の微生物でセルロースの素早い分解を行う。食物にならない廃棄物や廃紙から燃料を作れるらしい。

因みに日本でもネオ・モルガン研究所というベンチャー企業が新規微生物の開発で高い技術を持っています。



(プチ考察)
食糧難への懸念も考えると、藻を使った技術の量産化と、廃材利用の技術をうまく利用することで、ゴミの少ない社会の創出に大きく貢献できる可能性を秘めている。世界一美しい街と言われた江戸を育てた日本も改めて頑張らんと(考察じゃないですね・・)。

その他雑記

今回の渡航でクリーンテック系の企業を訪ねるのはやや難しそうですが、一応San Jose周辺にはどんな企業があるかだけ、セミナー講演者の先生に問い合わせてみました。答えが得られたら、地図上に書き込んで、近くを通る時に意識するくらいはしたいなあと思ってます。

内容とは関係ないですが、社会人向けの勉強会に出ることは、就職後のことを当事者意識を持って考える上で有用だな、と思いました。セミナーの会場には太陽電池などの技術をもつメーカーの人などもいらっしゃるはずで、その人の気持ちを想像するだけでも、緊張感をもって望むことができました。


最後に、もう少し柔らかいエコの視点として、日本が誇る発明家、藤村靖之さんが運営する非電化工房のHPを紹介します。
藤村さんは、電気を使わない冷蔵庫など、画期的な発明を次々に創出していることで知られ、発明家の養成なども行ってらっしゃいます。
http://www.hidenka.net/

ついでに書籍も紹介。

さあ、発明家の出番です!

さあ、発明家の出番です!

愉しい非電化―エコライフ&スローライフのための

愉しい非電化―エコライフ&スローライフのための

3冊目はまだ読んでないのでこれから買おうかと思ってます。