2010年の振り返り

今年は、8年間もいた『大学・大学院』という場所を離れ、会社員としてのスタートを切った年だった。
個人的な記録として、振り返ってみようと思う。


年始に書いたブログを見直すと、以下のような目標を立てていた。


<研究> (〜3月初め)
後追いではない、独自性のある展開を目指す


<仕事> (4月〜)
自分の会社が何をしているのか、ということを主体的に理解する


<学習>
インプットを多くして、今後自分の基礎となる能力を磨く


<コミュニケーション>
おもしろい人との交流を深め、その人たちと何をしたいのかを見つける


<生活>
整理整頓の改善と、感性を磨く体験を増やす


謹賀新年 - Enjoy Life & Science


結果どうだったか、それぞれ出来たこととできなかったことを振り返ってみる。


<研究>
○ 新しい展開
× 論文として形にする


目に見える形にできなかったのは今でもすごく悔しい。
身につけたことを糧にして、今の仕事では成果を残す。残したい、じゃなく。


<仕事>
○ 会社内部の様子や仕事内容の把握(おおざっぱだけど)
× 世の中で自社どんな位置づけにいるのか、みたいな部分の把握


世事に疎い点は学生時代から進歩してないので、来年はもっと幅広い知識をつけないとまずい。


<学習>
○ 機械に関わる色んな本に触れる
× 基礎知識の習得


食い散らしたけど体得していない、という感じ。
11月から図書館通いを始めたので、継続して取り組もうと思う。
週末に調布図書館に出没してます。


<コミュニケーション>


○ 関係づくり
× 成長させる


今年いちばん変化があった項目かなと思う。
社内交流もあるけど、外部コミュニケーションの変化が印象的だった。


4月からしばらく研修中で時間があったので、色々動いて以下のようなつながりが出来た。

研究設備を語る会 (in 博士のシェアハウス)
電子工作部
発明塾への参加
・エコ隊に参加


すばらしい人達との関わりができたな、と思っている。
来年は、つながりの質を高めたい。
特に研究設備を語る会は発起人なので、すこしずつ育てたい。
面白い人と面白いものつくる流れを加速させてゆこうと思う。


仕事が本格化してエコ隊への参加は厳しくなったけど、今年目に見える形で自分の成長につながった取り組みとしてエコ隊はすごく大きかった。
秋頃から購読しているNewScientistという英国誌が割と読めてるのも、エコ隊参加のおかげ。感謝です。


Economistは読むの大変だけど得るものは大きいので、来年も読む時間をつくりたいと思う。





<生活>


× 整理整頓のできる大人になる


頑張ります (´・ω・`)

中国で得られた5つの豆知識

ちょっと中国に行く機会があったので、得られた知見をレポートしてみる。



1. 人々の行動が自由


彼女の写真を撮る行動一つとっても、型にとらわれていない。

全体的に日本人より元気で、自由闊達であるという印象を受けた。






2. 残念な熊がいる


動物園にて。太りすぎて眉間にしわが寄っており、首も何重かになっている。
エサやり禁止なのだが、前述の通り人々は自由なのでガンガン食料を与えていた。
その結果がこれだと思われる。


あと、飼育員のおっさんがこの熊そっくりだった。






3. 線路を象が走っている


不思議な光景だった。けっこう速い。






4. 残念なパンダもいる


"Good!"みたいなポーズとってるけど、あまりグッドではない。






5. ヤマハとカワサキの融合が実現している


なるほど、そうくるか。




まあ要するに自由でエネルギーのある国なんだなって思った。


楽しかったです。

Twitterで最もつぶやいたワードを排除してみることに

郵便年賀jpがやっている今年の一文字というサービスを使ってみたところ、以下のような結果になった。

Spiny_anteaterが2010年で一番つぶやいた文字は「分」。156文字つぶやいてます。そんなあなたの2011年は、忍耐の1年かも。でも翌年には耐えた分、大きな花が咲くでしょう。http://bit.ly/ynhito #nenga2011


使った文字の1−10位を並べると


「分、自、大、学、会、生、時、研、出、気」


となった。


何となく、「自分」が入る文章が多く、後は大学とか生物とか研究のこと書いてるんだなーということがわかる。


まあ自分からは逃れられないけれど、「自分はもっと〜すべき」だとかそんなことばかりつぶやいてるのもつまらないなーと思ったので、『自分』というワードをTwitterから封印してみることにした。


ちょっと話が飛ぶけど、最近Skypeで英会話レッスンを受けているイギリス人から聞いたのが


WORDS = EMOTIONS = ACTIONS = QUALITY OF OUR LIVES


という法則。


自分が語る言葉によって感情がつくられ、感情は行動を生み、行動が生活をつくる。
だから、言葉は我々の人生をつくるというもの。
確かにそういう面はある。


自分の理想や目標にあたるのは、もっと面白い世界をつくりたいなーとかそういったことで、自分自身のことに気持ちの重点が置かれる状態は変えたいなと思っているので、Twitterにつぶやく言葉を変えてみることにした。


そんな理屈は別にしても、一番使っていたらしき言葉を排除するとどんな変化が起きるのか、という実験として楽しんでみようと思っている。


「俺」・「僕」・「私」などが増えるだけの結果に終わったら、ドンマイ自分。。

大学院を出て半年ほど過ぎ、ふと考えたこと

仕事も忙しくなってきて、社外でも色々と交流があり、という毎日。
しかし、ふっとあまり予定の入ってない連休を迎え、なぜか気持ちが沈んでなんもできずに時間が過ぎた。


うーん、めんどいなあ自分。。とか思いつつ、連休3日目を迎え、とりあえず筋トレとランニングで汗を流し、部屋を掃除する、という作業で修正を試みた。


体調もよくなり、部屋も片付いて、なんとなくわかったのは自分が少し余裕を失っていたんだなあということ。


生活の余裕とかもそうなんだけど、他人への感謝とかその辺が欠けていたように思う。
もっとガンバラネバみたいな気持ちに追われてると、今まで自分を成長させてくれた人への感謝とか、その人が与えてくれたものが見えなくなる。


卒業の時に研究室の先輩がくれた言葉とかを見返しながらそう思った。


研究の世界には、閉鎖的な雰囲気とかいろいろ嫌なものもあった。
でも、研究室の人たちは、異分野から来てなんもできなかった自分に、実験の仕方や研究の進め方を教えてくれ、研究に対する姿勢を学ばせてくれた。
向上心のある素敵な人ばかりだった。
本当に感謝している。


新しいテーマを立ち上げ、一緒に議論しながら研究を進めた経験は、今も確実に役立っている。
東大だろうがどこだろうが、大学院を出ること自体の価値はそれほど感じないけど、その過程で何かに本気で取り組んだ経験は、次に生きると思う。


そして、シリコンバレーカンファレンスの人をはじめ学外の人との交流が深まり、いろいろと視野が広がった。いろんな人が今の自分をつくってるんだなあと思う。


焦っていると、自分を変に大きく見せようとしたり、自分を過度に責めたりしてしまいがちだけど、そこからは何も生まれない。


いまの自分に何があって、それは誰のおかげか、ということを忘れないよう自分をメンテナンスしながら、自分の課題を少しずつクリアしてゆきたい。



ごく当たり前のことを確認した休暇でした。
自分と関わってくれてる人たちに感謝してます。

Makeに出てきました!

9/25-26にMake: Ogaki Meetingというイベントに出てきました。


サイトに掲載されたMakeの説明は以下の通り。

「Make」は2006 年8 月から株式会社オライリー・ジャパン刊行している「Make: Technology on Your Time」日本語版(以下「Make」日本語版) という雑誌名であり、まったく
新しい切り口でモノ作りの楽しさを伝える出版物として、日本でも多くの読者の方に支持していただいています。


Make Meetingは面白い物をつくってる人 (Maker) が各地から集まって作品を展示するという素敵な企画。
今まで日本では東京のみで開催されていたようですが、今回の岐阜県大垣市にて開催。


初心者Makerながら電子工作部のメンバーとして自分の作品を展示させて頂きました。


僕が展示した作品の写真はこちら↓




コンセプトは、
水やりをする植物


装置の上の方にある植物は造花で、そこから実際の植物にチューブで水が供給されるというしくみ。

造花の葉にセンサーが取り付けられており、水がつかない、つまり乾燥した状態が一定時間以上続くとペットボトルが傾いて水やりしてくれます。
乾燥状態の継続を計算し、モーターを動かしてペットボトルを傾けるあたりの制御にはオープンソースハードウェアのArduinoを使いました。


自動で水やりできて便利、という機能的な面の他に、
生きた植物と違って水を供給してくれる人工の植物がいてもいいのでは、
という遊び心も入れてます。装置丸出しより見栄えもよいし。


造花って本物の植物よりつまらないイメージがあるけど、こんな見せ方ができれば持ち味を生かせるかな〜という気がします。



今回はなんとか動くものにした感じなので、作業プロセスを公開しながら改善してゆこうと思います。



電子工作部メンバー3人ともにMakeを見に行くことすら初めてという状況で、しかも出品者側として参加するという無謀な挑戦でしたが、行ってよかった心から思える内容でした。


大学院を抜け出してエンジニアの方面に進んだ自分にとって、大きな一歩になりました。
もっとクオリティの高いものつくって、海外でも出展できるようがんばります。


温かい目で見てくださり、貴重なご意見を下さった方々、関係者の方々、そして電子工作部メンバーにほんと感謝してます。


どうもありがとうございました!

感覚の拡張

20日のエコ隊では、NewScientistという科学雑誌の記事を取り上げた。
面白くて議論も盛り上がったので、簡単にまとめと考察を書いてみる。


記事の原文:http://www.newscientist.com/article/mg20727731.500-sensory-hijack-rewiring-brains-to-see-with-sound.html
(ある程度時間がたつと読めなくなってしまうらしい。読めなかった人はすみません。)


タイトルはSensory hijack(感覚のハイジャック)
五感の一部をハイジャックして別の感覚として活用しちゃう話。


具体的には聴覚をハイジャックして視覚にしてしまおうという試みについて(タイトルのrewiring brains to see with sound)。
オランダの物理学者・兼・発明家の Peter Meijerが開発したvOICe (ボイス) という装置は外部の映像を音に変換することができる。

その原理についてまとめた段落を抜粋する。

Every second the camera scans a scene from left to right.
Software then converts the images into soundscapes transmitted to the headphones at a rate of roughly one per second.
Visual information from objects to the wearer's left and right are fed into the left and right ear respectively.
Bright objects are louder, and frequency denotes whether an object is high up or low down in the visual field.



(簡単に訳したもの)


・毎秒カメラが映像を左から右にスキャン。
・ソフトはその画像を音の風景に変換し、およそ1秒に1回ヘッドホンに転送する。
・左側の映像は左耳に、右側の映像は右耳に伝えられる。
・明るいオブジェクトはより大きい音で伝わり、位置の高い・低いは周波数の高い・低いで表される


これだけ?という感じだが、訓練次第で変換された音を映像に変換することができるようになるらしい。
vOICeを使う訓練を10年続けた人のコメントでは、「古い映画のような映像」が見えるようになるとのことで、かなりすごい。


訓練次第で、タイトルにある "rewiring brains" が完成するわけで、人間の感覚の柔軟性とか発展性のようなものは偉大だなあと思った。




当日は時間的に読めなかったけど、後半では脳科学の分野でvOICeが注目されてる、という話が書いてあり、それも面白い。


まず、神経科学者のAmir Amediが2002年に発見した the lateral occipital tactile-visual (LOtv) regionという脳の領域について。


この領域は後頭皮質 (occipital cortex) 上にあり、触覚と視覚情報のどちらに対しても活性化される。
実験の結果、vOICeを使い慣れた人は、初心者と違い、vOICeの合成した音の風景 (sound scape) を聞くとLOtv領域が活性化されることが分かった。


また、LOtv領域の働きを阻害するような電磁刺激 (rTMSというらしい。詳しいことはよくわかない) を与えるとvOICe使用者は映像を描けなくなるという結果も出たらしい。


つまり、LOtv領域は、視覚を使おうが、vOICeからの音と聴覚を使おうが、映像を脳に描く(見る)際に活性化される領域だと考えられる。
『見る』とは何かの本質に迫る話で、非常に興味深いと思った。




終盤の段落ではsynaesthesia (共感覚) について書かれている。
実験の結果、vOICeを10−15時間くらい訓練しただけの人でもLOtv領域の活性化が起きたらしく、


Amediは
"The brain is doing a quick transition and using connections that are already there,"
(脳が素早い変換を行い、既存の回路との接続を行った)
とコメントしてる。


こういった現象から、実はふだんから耳からの情報が映像を変化させるってことは起きてるんじゃないか、という推測が出来るという話も書いてある。


一つの感覚が別の感覚を自動的に刺激することを『共感覚』と呼ぶそうで、"R"という文字が赤色に見えるとか、特定の音が形や色を感じさせたりすることがあるらしい。
そして、共感覚の現象が見られるのは幼児期に多く、大人では稀らしい。

ってことは、我々の感覚器の役割は最初は少し曖昧で、成長に従って回路編成が整い、眼で見て、耳で感じて・・というのがはっきりするのかもしれない。


これは個人差について考える上でもすごく重要な話だと思う。
頭の固い人と柔らかい人の差は回路の再構築を継続してないかしてるか、の差だとか
優れた音楽家は聴覚を別の感覚器で強化してるのかもしれないとか、
五感という分け方自体、便宜的なもので、『神経系』とでもまとめた方がいいのかなとか
脳は老化しないとか言うけど、意外に感覚器も大人になってから鍛えられるのかなとか・・・
いろいろ考えられる。


全体を通して人間のつくりの柔軟性はすごいなあと思った。
ちょっとテーマが違うけど、「その人がもつ遺伝子」とか先天的なものの影響は後天的な訓練でどうとでもなることも多いのかなと思う。*1


DNA配列で全て分かるとか思ってる人は、トマトでも育てて生物の柔軟性に触れるといいんじゃないかな。




最後に紹介されている神経科学者Pascual-Leoneの言葉の中に、


The capacity to recover function could be much greater than realised.


(身体の)機能を回復する能力は既知のものよりずっと大きいかもしれない。


という文章がある。


人間の機能の拡張、という話を考えるとどうしても軍用の話が浮かんでしまうけど、希望につながることを期待している。

*1:1つの遺伝子が原因で生じる病気とかは話が別だけど。

100723 エコ隊

今年度からエコ隊に参加させて頂いている。
ブログには書いてなかったけどメモ書きをちょくちょく載せていこうかと。

id:phoさんのシンガポール行きでメンバーが減ったぶん、残った側として少しずつ予習や復習の質を上げるつもり。
会社は残業解禁の時期が徐々に迫っているが、がんばって続けたい。



今回は3本の記事に取り組んで2本と半分くらいまで進めて終わった。



記事1  Forget it !

原文:http://www.economist.com/blogs/newsbook/2010/07/business-school_research

人間は過去に知った情報に流されがちと考えられていたが、誤った情報を排除する能力は意外と高いのかもしれない、と結論づけた研究について紹介した記事。


紹介されたのはペンシルバニア大学のUri Simonsohn教授による研究で、題材として用いられた事件は以下のようなもの。


・Consumer Report誌がチャイルドシートの安全性ランキングを掲載した
・しかし安全性をはかる調査方法に不備があり、2週間後に訂正記事が出た
・訂正の前後でランキングにも変化があった


そこで、訂正記事のでる前後でチャイルドシートの価格にどのような変化が出たか、を調べた結果


・訂正前はランキングが低かった銘柄の価格は訂正後に上昇した
・訂正の前後で変化のなかった銘柄は価格も変化しなかった


ということがわかり、消費者は過去に得たランキングの情報を修正できていることが示された。


って話なんだが、この調査だけから言えることってのはあんまり多くなさそうな気がする。最後の方の段落ではSimonhson博士の結論に対する反論なども書かれている。個人的にはあまり説得力のある記事とは思わなかった。

ただ、以下にも紹介するように、今回読んだ記事はどれも『情報の選別』に関わるテーマなのが面白い。個人の志向にマッチした情報の入手方法の開発がIT分野ではあらゆる方向から行われてるってことなのかな。


記事2 Correct me if I'm wrong…
better speech-recognition technology


原文:http://www.economist.com/node/16577398



こちらは最近の音声認識技術について。

最近の音声認識プログラムは単に話された単語を識別するだけでなく、前後の単語のつながりから考えてここはこの単語の可能性が高い、みたいな計算を統計的に行うらしい。
ただ、単語同士の関連性を計算するプログラムなので、1つ間違いがあると全体にエラーが波及してしまうといった問題もあるとのこと。

ケンブリッジ大のチームが開発したParakeet (単語の意味はインコ。音声認識だからか)というプログラムは、予測された複数の文章からタッチパネル操作で正しいものを選ぶことができるらしい。統計的なプログラムだとはじかれてしまうような文章も選択できるようなので、フランクな会話にもマッチしていそう。

また、Pocket Sphinxと呼ばれるオープンソース音声認識技術のプロトタイプがカーネギーメロン大学で開発されたようで、最後の段落に軽く紹介されている。

手が自由に使えない車の中とか、ゲームの世界とかで音声認識技術の活躍の場が広がりそう、というのが記事の結論。

エコ隊メンバーで話したのは、ラブプラスみたいなゲームに採用されて、女の子が自分の声に反応するようになったら、ますますあちら側にいく人が増えるのかな−、みたいなこと。
何かを得ると何かが失われるということですね。


音声認識技術においても、『ほしい情報の選別』が大きなテーマになっていることがわかる。単に文法として正しい文章をつくろうとするプログラムよりも、ユーザの意志を反映してくれるプログラムが望まれている。



記事3 The Difference Engine : The wisdom of crowds

原文:http://www.economist.com/node/21008482


Technology Babbageというコーナーで紹介されている記事。*1


この記事は途中までしかいかなかった。5段落目くらいまで読んで、大ざっぱに書くと下のような内容が書かれていた。

かつて情報収集に親しい人の意見や図書館、調査やコンサルタントなどを利用していた状況が変化し、ウェブ上から大量の情報が得られるようになった。しかし、ブログなど読むと価値のある情報は不足している。
ただ、マーケットの世界でも政治や世論の世界でも、理屈よりも感情がものごとを動かしており、オンライン上の感情的な議論を情報源として利用した選挙の動向調査手法なんかも開発されているらしい。


このあたりの文章と、上の2記事を踏まえて考えると、
人間という、論理で割り切れない感情的なものと、理論ベースでつくられたコンピュータ・プログラムとの関わりかた、という大きなテーマが背景にあるような気がする。

以下は自分用のメモとして6段落目以降の内容を順に書いてみる。間違いなどあったら指摘して頂けたら助かります。



6段落目
・しかし、感情に後押しされた意見がもっとも影響力をもつのは経済分野である。
・それらの意見は、多くの商品の購入決定に影響して世界を動かしているので、無駄な情報を省いてオンライン上の叡智を汲み取るような手法を見つける必要がある。 
make ~ go round : ~を動かす


7段落目
口コミの驚異的な影響をいかに抽出するか、は社会科学者が取り組んできた課題であり、近年では自然言語処理の学者が取り組んでいる。
さらに今では、約60の会社が、依頼者の顧客や有権者の考えをより深く知るためのツールを開発するオフィスを開設した。

word-of-mouth : 口コミ
constituent : 有権者


8段落目
・多くの技術はセマンティック・サーチ・エンジンを用いてWeb上から意味のある、曖昧さのない情報を収集しているが、そういった自然言語プロセシングは医療や法律などの限られた分野で有効である(くだけた情報は抽出しにくい仕組みになっている、ということかな)。
GoogleやBingなど通常のサーチエンジンはウェブ全体をインデックス化するのでコンピューターに負荷がかかりすぎる。
disambiguate : 〜の曖昧さを除去する


9段落目
"deep content analysis"と呼ばれる手法は、完全で曖昧さのない文章をコンピューターに理解させるが、客観的な事実に関する記述と感情的な記述をあまり明確に区別しないので、ウェブ上で実際に言われていることをよりよく理解できる。


10段落目
・客観的なソートから感情に後押しされたコンテンツを抽出するのは非常に難しく、関連する文書や条項(clause)はブログなどの情報の中に埋もれてしまう。
・それらを見つけるには意味のある情報を抽出し、そこに含まれる感情がポジティブなのか、中立なのか、ネガティブなのかを判断して指標化しなければならない。

detached 第三者的立場の


11段落目
・問題はそれだけではなく、分析している対象が評価に足るものか、どのような特徴を持つか、感情の強さ、誰が記述しているか、いつのものか、という5つの変数が表現には含まれる。
・分析者の仕事はそれら5つすべてを掘り起こし、無駄なものを除去することで、その仕事を経てようやくデータを処理することができる。

quintuple : 5倍


12段落目
・これらは非常に骨の折れる仕事であり、多くのスタートアップ企業が取り組んでいる。
ヴァージニア州のCarabridgeという会社は、意見を抽出するテキストマイニングのソフトウェア販売により、ここ数年の成長率は50%以上である。
・同社のautomated sentiment tools (自動感情読み取りツール?) はフォーチューン1000に入る多くの企業に使われている。

grunt work : 単調でつらい仕事


13段落目
・Carabridgeのソフトにより、企業はこれまで80%程度を破棄していた顧客からのフィードバックを処理できるようになった。
・さらに重要なことに、手作業で何週間もかけていた作業をリアルタイムで行い、かつ11段階のスコアリングもしてくれるので、企業は顧客のニーズをより深く理解し、迅速に対応できる。


14段落目
・近年ではヒトゲノムの解読からヒントを得た (ゲノム解析と似た処理を行っているということだと思う) 感情エンジンが株式市場に関する意見をリアルタイムで抽出しているようで、大もうけにつながるキラーアプリが登場するかもしれない。

*1:id:shiumachiによると、Babbageは19世紀の数学者で、コンピュータを初めて設計した人らしい (実現しなかったけど、その設計通りにつくったら動いたとのこと。すごい)。